ここ数年、国際協議会では必ず「職業奉仕」をテーマにしたスピーチがありました。しかし、今年のように、このテーマで3人もの人が話すことはありませんでした。3人のスピーカーは、それぞれ違う文化をバックグラウンドにもっていますから、少しずつ話は違いますが、ロータリーの職業奉仕が世界共通のものであることが見えてきます。
「職業奉仕」の最初は、ロータリー財団管理委員の田中作次氏です。「ロータリアンは、ロータリー独特の職業奉仕の理念を率先垂範できる恵まれた立場にあります。私が出会ったある会員は、ロータリーに入会して初めて職業を持つ真の意味が理解できたと言います。入会前は自己研鑽、金儲け、生活の糧を得ることなど自分本位の考え方でした。しかし現在は変わりました。社会のために尽くすことが生きる目的であり、職業を持つ目的となり、他人が喜んでくれることに自分の喜びを覚え、正直な仕事を通じて信頼を得、そして職業を通してさらに世の中に役立つ努力をするようになったそうです。私たちは奉仕の理想を実践するとともに、高度な職業倫理と社会道徳を自らの行動で示すことによって、あらゆる場面で多くの人々に倫理運動を奨めていくことが求められています。社会生活において、事業生活において、そして個人生活においても自己の信念と行動が一致する『言行一致』こそ、企業でも個人でも信頼を得る最善の道です」と、その重要性を語りました。
その後、日本にける職業奉仕の考え方や実践例について話し、最後に「1920年代後半の世界大恐慌時においても、職業倫理基準を持つロータリアンが経営する会社は倒産から免れるか、あるいは他社と比較して被害が少なかったという報告もあり、昨今の世界的経済不況の中で、改めて私たちロータリアンが職業奉仕の理念に真剣に取り組む最も適切な時期とも言えます。職業奉仕における法令順守、高い倫理的水準の推進とその実践は自ずと人と人との信頼につながり、仕事にも人間関係にも社会にも良い結果をもたらしていきます。それがロータリーでの職業奉仕の最もユニークな特徴です。他の団体には類いのないこの理念を、地区やクラブを通じてすべてのロータリアンに強調し続けていくなら、人に問われて、ロータリーの魅力と言えば、胸を張って職業奉仕であると近い将来多くのロータリアンが答えるようになるでしょう。ロータリー特有の職業奉仕を推奨・強調し、実践すれば、未来におけるロータリーのさらなる発展を約束する原動力となるはずです」と結びました。
次に国際ロータリー理事で、ブラジルのアントニオ・アラジュ氏は、「職業奉仕はロータリーの特質です。ロータリーが他の組織と一線を画しているのは、この奉仕部門があるからです。職業を通じての奉仕がかつてないほど必要とされているこの世界で、ロータリーの存在理由は、まさに職業奉仕にあると言っても過言ではありません。ロータリーのこの概念を共有しているロータリアンは、互いの性格や考え方の相違はさておき、責任を持って倫理的行動を取るというビジョンを語り、模範を自らが示すことによって、日々の行動や決定の中で一貫して職業奉仕の概念を実践することができるよう、互いに助け合っているのです」と話し始め、自分の身近な例を紹介しました。
国際ロータリー理事で、アメリカのトーマス M. ソーフィンソン氏は、「職業奉仕に従事するには、3つの要素があると私は考えます。その第一は、私たちの職業能力を生かして、恵まれない人々に奉仕することです。第二は、職業を通じて、未来のリーダーを育成することです。そして第三は、自分の職業の中で、また職業の枠を越えて、高潔性を育み、推進していくことです」と述べました。
そして「職業奉仕はロータリーに不可欠です。職業奉仕こそ、ほかの奉仕団体や人道的組織にない、ロータリーならではのユニークな特徴です。しかし、私たちが最大の成果をもたらすには、全員が自分たちの職業能力を生かし、未来のリーダーを育成し、職業生活においても、私生活においても、またロータリアンとしても、一貫して高潔性を求め、また自らがそれを示していかなければならないのです」と結びました。 |